社会保険と国民健康保険の違いとは?切り替え方法やどちらが安いかを解説

2025年9月17日更新

社会保険と国民健康保険の違いとは?切り替え方法やどちらが安いかを解説

社会保険に加入している人は、健康保険にも加入しています。このコラムでは社会保険の健康保険と、国民健康保険の違いに焦点を当てて、説明をしていきます。健康保険はいざという時、適切に医療を受ける為の大切な保険です。2つの健康保険の違いを知って、今後の参考にして下さい。

社会保険とは

社会保険とは、労働者が病気、ケガ、労働災害などに備える公的な強制保険制度です。正社員や一定の条件を満たす非正規社員は、法律でこの制度に加入しすることが定められています。

社会保険とは、「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」「労災保険」「雇用保険」の5つの保険制度の総称です。

社会保険は、個人ではなく、雇用主(会社)を通じて加入されます。また、配偶者(事実婚などの内縁者を含む)や三親等以内の親族も被扶養者という形でこれに加入することができます。

会社員が加入する社会保険の運営主体は、「健康保険組合」と「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の2つの組織によって管理されます。

健康保険組合:健康保険組合は、特定の会社や組織が自己管理する保険組合です。大企業や特定の業界団体などが、自身の労働者や従業員の健康保険を独自に運営する場合に、健康保険組合を設立します。従業員が加入し、会社が保険料を支払い、組合が運営を行います。

全国健康保険協会(協会けんぽ):全国健康保険協会は、健康保険組合に加入していない個人や中小企業などの被保険者を対象に、全国的に健康保険を管理・運営する組織です。協会けんぽは、日本全国で健康保険に加入していない人々をカバーするために存在しており、保険料の徴収と給付の処理を行います。中小企業の多くは協会けんぽに加入しており、2023年6月時点で約2,515万人が加入しています。

引用:全国健康保険協会「協会けんぽ月報(概要)(令和5年6月)」

国民皆保険制度とは

国民皆保険とは、病気のときやケガにあったときの高額な医療費の負担を軽減するための医療保険制度です。日本ではすべての国民が公的医療保険に加入しなければならないことになっており、これが「国民皆保険制度」と呼ばれています。

民間の生命保険や医療保険に加入していても、必ず公的医療保険に加入しなければなりません。

国民皆保険制度は、国民同士の支えあいによって成り立っています。これにより、いつでも、誰でも、必要な医療サービスを少ない費用負担で受けることができます。

国民健康保険とは

公的医療保険の一つである国民健康保険とは、他の公的医療保険に加入していない全ての人を対象とした保険です。
具体的には、農家さんやお店の経営などをする自営業の人、働いていない人、一定条件に満たない非正規雇用の人、外国人登録をしていて3カ月以上日本に滞在すると認められた外国人などです。社会保険の被扶養者に当てはまる人は、国民健康保険に加入する必要はありません。

国民健康保険には、社会保険(健康保険)と違い、扶養の概念がありません。配偶者がいる場合はそれぞれ別々に保険料を支払うことになります。

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社会保険と国民保険の違い

社会保険(健康保険)と国民健康保険は、公的医療保険の一つです。

公的医療保険とは、自営業者や年金受給者が加入する「国民健康保険」、会社員が加入する「社会保険(健康保険)」、公務員が加入する「共済組合」、船舶の船員などが加入する「船員保険」、75歳以上の人などが加入する「後期高齢者医療制度」のことです。すべての人がこのいずれかの保険に加入しており、加入できる人や支払う保険料の計算方法、支払い方法などが違います。

以下の表にまとめました。

 制度被保険者保険者給付事由
医療保険健康保険一般健康保険の適用事業所で働く会社員(民間会社の勤労者)全国健康保険協会
健康保険組合
(業務外の)
・病気、けが
・出産
・死亡
法第3条第2項の規定による被保険者健康保険の適用事業者に臨時に使用される人や季節的事業に従事する人等
(一定期間を超えて使用される人を除く)
全国健康保険協会
船員保険
(疫病部門)
船員として船舶所有者に使用される人全国健康保険協会
共済組合
(短期給付)
国家公務員・地方公務員・私学の教職員各種共済組合・病気、けが
・出産
・死亡
国民健康保険健康保険・船員保険・共済組合等に加入している勤労者以外の一般住民市(区)町村
退職者医療国民健康保険厚生年金保険など被用者年金に一定期間加入し、老齢年金給付を受けている65歳未満等の人市(区)町村・病気、けが
高齢者医療後期高齢者
医療制度
75歳以上の方および65〜74歳で一定の障害の状態にあることにつき後期高齢者医療広域連合の認定を受けた人後期高齢者医療
広域連合
・病気、けが

出典:”医療保険制度の体系”全国健康保険協会

対象者の違い

社会保険(健康保険)の対象者

社会保険(健康保険)において、保険の適用は事業所を基本単位とします。健康保険の対象となる事業所を「適用事業所」といいます。適用事業所に勤める人が社会保険(健康保険)の加入対象者になります。

パートやアルバイトであっても以下の条件に当てはまる場合は加入対象になります。加入条件は少しずつ緩和されています。

・週の所定労働時間が20時間以上

・賃金が月8.8万円以上

・2ヵ月以上雇用されることが前提である

・学生ではない

適用事業所は2種類あり、法律により義務的に加入が要求される「強制適用事業所」と、任意で加入を選択できる「任意適用事業所」の2種類があります。

強制適用事業所

事業主や個人の意思、企業の規模・業種に関係なく、加入が義務付けられるすべての事業所を指します。以下の条件に当てはまる事業所です。

(1)次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所
 a製造業b土木建築業c鉱業d電気ガス事業e運送業f清掃業g物品販売業h金融保険業i保管賃貸業j媒介周旋業k集金案内広告業l教育研究調査業m医療保健業n通信報道業o士業など

(2)国又は法人の事業所
常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所

引用:“適用とは?”全国健康保険協会
任意適用事業所

強制適用事業所とならない事業所で、事業所で働く半数以上の人が適用事業所となることに同意し、事業主が申請することで適用事業所になりす。

国民健康保険の対象者

社会保険(健康保険)など他の公的医療保険制度に加入していない全ての人が対象です。

保険料の算出方法の違い

社会保険(健康保険)と国民健康保険では、保険料の計算方法や算出の基準・指標が異なります。

社会保険(健康保険)の計算方法

社会保険は標準報酬月額に保険料率をかけて計算されます。標準報酬月額とは、4月・5月・6月に受けた報酬の平均額を標準報酬月額等級区分にあてはめて、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額を決定します。

社会保険(健康保険)は、協会けんぽか保険組合かや都道府県によって保険料室が変わります。

協会けんぽの都道府県毎の保険料額表は以下のサイトからみることができます。

関連リンク:全国健康保険協会「令和5年度保険料額表(令和5年3月から)」

社会保険(健康保険)の保険料は、被保険者と事業所と折半されます。保険料の支払い方法は、給与から控除され、被保険者分と事業所分を合わせて納付先へ納められます。

国民健康保険の計算方法

公民健康保険の保険料は各市町村の条例で定められています。その為、住む場所によって保険料が異なります。

社会保険(健康保険)とは違い、前年の1年間の収入から保険料が算出されます。

保険料は世帯単位で算定されます。世帯の被保険者ごとに算出され、それを合計したものです。世帯の人数、年齢、収入により保険料は異なります。納付書などは世帯主あてに届きます。

ご自身の保険料の算出方法は、お住まいの市町村のウェブサイトなどで確認ができます。

支払い方法も、市町村ごとに異なりますが、口座振替や納付書による納付などがあり、自信で手続きをして支払う必要があります。

扶養の有無による違い

社会保険(健康保険)と国民健康保険では、扶養にたいする対応が異なります。

社会保険(健康保険)の扶養について

被保険者の収入によって生計を維持されている配偶者や両親、親族などを扶養に入れることができます。扶養の人数によって支払う保険料はかわりません。扶養に入れる範囲と扶養者の収入には条件があります。

扶養に入れる範囲】

1.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
※これらの方は、必ずしも同居している必要はありません。

2.被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
※「同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいます。① 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子

※ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、除きます。

被保険者の収入条件

同居の場合:認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。

別居の場合:認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には、被扶養者となります。 

引用:全国健康保険協会「被保険者とは?」

国民健康保険の扶養について

国民健康保険には、前述したとおり扶養という概念がありません。生計を同じくする家族がいても、扶養になることはなく、被保険対象者はそれぞれ保険料を支払うことになります。

社会保険と国民健康保険を切り替えるには

会社員が仕事を辞めた時や、フリーランスへ転身した時、反対に自営業から会社員になった時などに、社会保険(健康保険)と国民健康保険を切り替える必要があります。

国民健康保険から社会保険に切り替える場合

フリーランス、個人事業主、自営業、扶養に入っていた人、無職などの方が、適用事業所に就職した時、国民健康保険から社会保険(健康保険)に切り替える必要があります。

加入者の手続き

勤務先の社会保険に加入した場合は、お住まいの市町村で国民健康保険をやめる(脱退)手続きを自信で行う必要があります。手続きには勤務先から交付された社会保険証(新しい保険証)が必要となることが多いです。

会社側の手続き

会社側が社会保険(健康保険を含めた全ての保険)への加入手続きする必要があります。

まず、加入対象者かどうか確認します。入社した日から5日以内に「被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所に提出しなければなりません。
加入する人に扶養者がいる場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」も合わせて提出する必要があります。1~2週間後に新しい社会保険の健康保険証(被保険者証)が届くので加入者へ渡します。

社会保険から国民健康保険に切り替える場合

適用事業所に勤めていた人が、仕事をやめたり、自営業に転身した際は、社会保険(健康保険)から国民健康保険へ切り替える必要があります。

加入者の手続き

仕事を辞めた次の日から社会保険(健康保険)の資格を喪失してしまいます。資格を喪失してから14日以内に、お住まいの市町村へ国民健康保険への加入手続きを自信で行う必要があります。

申請をしてから国民健康保険証はすぐには届かないため、できるだけ早めに手続きに行きましょう。
保険証の切り替え中に病院にかかった場合は、後から請求すれば戻ってはきますが、一旦全額の医療費を支払う必要がでてきます。

会社側の手続き

会社側は社会保険(健康保険を含めた全ての保険)の脱退手続きをする必要があります。

まず、退職者と扶養者(いる場合)の健康保険証を回収します。

退社日の翌日から5日以内に「被保険者資格喪失届」を管轄の年金事務所へ提出しなければなりません。

退職時、社会保険を継続することはできる?

退職しても、社会保険(健康保険)への加入を継続することができる「任意継続制度」という制度があります。

仕事を辞める前に2ヵ月以上社会保険(健康保険)に加入実績があればこの制度を利用することができます。

任意継続制度を利用する場合、退職した日の翌日から20日以内に任意継続制度の申請をする必要があります。また、継続できる期間は最大で2年間です。

任意継続被保険者になった場合は、原則として、在職中と同様の保険給付が受けられます。ただし、退職日まで継続して1年以上被保険者であった方が、退職日時点で傷病手当金や出産手当金を受けているか、受ける条件を満たしている場合を除き、傷病手当金や出産手当金を受けることはできません。

引用:全国健康保険協会「会社を退職する時」

継続するメリット

任意継続制度を利用するメリットはいくつかあります。

・扶養者の数により保険料が安くなる場合がある
国民健康保険には扶養という概念がありません。扶養者の人数によっては、国民健康保険より社会保険(健康保険)の方が保険料が抑えれる場合があります。

・高所得者の場合保険料が安くなる場合がある
社会保険(健康保険)には保険料算出に使用される標準報酬月額に上限がある為、収入によっては国民健康保険より保険料が抑えられる可能性があります。

・社会保険(健康保険)と同様のサービスを受けられる
健康診断や手当など、勤めていた時と同じ待遇を受けられます。

継続するデメリット

反対に任意継続制度を選択するデメリットは以下の通りです。

・保険料が高くなる
会社に勤めている場合は、会社と加入者が折半して保険料を納めますが、任意継続制度を使用した場合は、加入者が全額を支払う必要があります。必ずしも社会保険(健康保険)の方が安くなるとは限りません。

以前は、一度「任意継続制度」を選択した場合、国民健康保険への切り替えにはいくつかの条件があり、簡単に変更できませんでした。しかし、2022年1月から、自己都合で「任意継続制度」を終了させることができるようになりました。このため、所得が急激に減少し、国民健康保険の方が保険料が安くなる場合でも、2年以内に国民健康保険に切り替えることが可能になりました

社会保険と健康保険、どちらが安い?

では、社会保険(健康保険)と国民健康保険、どちらの方が保険料が安くなるのでしょうか?
協会けんぽの保険料を年収ベースで比較してみます。

健康保険だけを考えると、どの年収でも社会保険(健康保険)のほうが国民健康保険より保険料は安いです。しかし、年金を考慮すると、年収300万円以上は国民健康保険と国民年金の組み合わせの方が、社会保険と厚生年金の組み合わせより収める金額が少なくなります。

よって年収300万円以上の人は任意継続制度を使用しない方が保険料は抑えられます。

ただし、扶養者がいる場合や、お住まいの市町村、保険組合により金額が異なるので、300万円は目安です。

また、社会保険(健康保険)と国民健康保険では保険料の算出に使用する所得の時期が違うので、切り替える月によっても状況は変わります。

退職する前にどっちがお得になるか比較して、任意継続制度を利用するか国民健康保険に加入するか選択しましょう。

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まとめ

このコラムでは、社会保険(健康保険)と国民健康保険の違いに注目して説明してきました。保険料の算出方法、加入条件などいろいろな違いがあることが分かりました。知らないと損をしてしまうこともあるので、いざ、雇用環境が変わった時に慌てないように違いを知っておきましょう。

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